社長を困らせるためにSEがわざとウイルスメールを送信するという事件が起こった。
この業界で働いてきて、つくづく思うのは、SE/プログラマはまず誠実で良心的でなければならない、ということだ。
SE/プログラマは、この事件のように悪用しようと思えばいくらでも悪用できる立場と情報と技術を持っている。
『同社は「2度とこのようなことが起きないよう、情報管理を徹底したい」と陳謝した。』そうであるが、情報管理の徹底によって遮断できるのは部外者などからの不法な情報へのアクセスであり、機密情報を扱うその人間がそれを悪用しようとすればそれを止めるのは殆ど不可能だ。
少し前に、アメリカで軍事的技術のリサーチなどもする、ロス・アラモス研究所(だっけ)から中国人技術士が核についての軍事機密などを持ち出したが、これに対する同研究所側の対策は、アメリカ市民以外の排斥だった。現在同研究所では、外国人は働けないのは勿論のこと、見学できないエリアさえあり、大学の授業などでグループが見学に訪れると留学生だけ別室に通されることもあるそうだ。
また、プログラムを組める者にとって、自作ウイルスをばら撒いたり、何かをハッキングするのは全くたやすいことだ。以前、初めて会った人に「プログラマなの?じゃあウイルスとか作れる?すごいねー」と言われたことがあるが、作れても作らない、という倫理観があってこそプログラマなのではないだろうか。でなければ単なる犯罪人になってしまうからだ。
一方で、プログラマやSEの仕事は、定量で図ることが困難な上、仕事の本当の中身は他人から見えにくい。しかも良い仕事をするには大抵、適当に仕事するよりはるかに多くの労力と知識が必要になる。
ここをがんばれば、仕事の質は良くなる、としても、どれくらいよくなるかなどは比較対照がないので他人にはわからない。つまり評価も伴わない可能性が大きいのに、単に仕事の質を上げるために、更なる労力をつぎ込むのだ。よい仕事をしようという気持ちの強い、良心的なプログラマでなければ、そんなことはしないだろう。適当に仕事しても「こんなもんですよ」と言い逃れればそれで済むわけだから。これも、かねてから良心的であることが良いプログラマの必要条件だと私が考える理由である。
この事件で被害を被った、「ツノダ」の社長がしなければいけないことは、情報管理を徹底することではなく、良心的なSEを採用する眼力を身につけること、あともしかしたら社員に敵意を抱かせるような行為を慎むこと、ではないだろうか。